フリー素材

①複数の新聞(またはウェブサイト、3 つ以上)で、同じ出来事がどのように伝えられているか比べてみよう。見出しや写真、本文の内容で異なっている点を整理し、各新聞の論調や切り口、スタンスなどを分析してみよう。

 

私は、2017年4月25日の、JR福知山線脱線事故から12年が経過したことを報道するニュースに対する各新聞社(あるいはニュースサイト)のウェブニュースを比較したいと思う。比較するのは、朝日新聞http://www.asahi.com/articles/ASK4S3T6XK4SPTIL00V.html)、日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXLASHC24H60_V20C17A4AM1000/)、Yahoo!ニュース(https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170425-00000001-wordleafv-soci)の記事である。まずは見出しだ。朝日新聞では、「宝塚線脱線事故「わすれない」 現場で追悼のあかり」、日本経済新聞では、「JR尼崎脱線12年 安全への誓い新た 追悼慰霊式」、Yahoo!ニュースでは、「事故現場に響く哀悼の警笛 JR福知山線脱線事故から12年」という見出しで報道が行われている。次に写真である。朝日新聞では、「事故が起きたマンション前で、風化防止を訴え、ともされた「追悼のあかり」=24日夜、兵庫県尼崎市、代表撮影」の題で、24日に行われた追悼の催しの写真を一枚記事に用いていた。また、その下にサムネイルで数枚同じ催しの様子を写している。続いて日本経済新聞では、「事故発生時刻の直前に現場を通過する列車(25日午前、兵庫県尼崎市)」「事故発生時刻の直前に現場を通過する列車の中で手を合わせる乗客(25日午前、兵庫県尼崎市)」の題で、事故発生時刻前後の事故現場付近における様子を二枚、写真として掲載していた。次にYahoo!ニュースであるが、「事故現場に響く哀悼の警笛 JR福知山線脱線事故から12年 撮影・編集・報告:柳曽文隆 THEPAGE大阪」の題で、映像としてのニュースを掲載した上で、「[写真]事故発生から12年を迎えた。事故現場付近では黙とうがささげられた=25日午前、兵庫県尼崎市で(撮影:柳曽文隆)」「[写真]事故現場となったマンションも上層階部分が取り壊されている=25日午前9時半ごろ、兵庫県尼崎市で」「[写真]工事前のマンション(2016年1月撮影)」の題で3枚の写真を掲載していた。そして本文の内容についてである。朝日新聞では、追悼の催しの様子を中心に報道している。日本経済新聞では、追悼が行われたことを報道しつつ、それに重ねて、鉄道会社への起訴など、事故から現在までに起こった過程を説明しているようにも取れる。Yahoo!ニュースでは、事故現場付近の様子や乗客の様子を報道し、最後に事故の概要について説明する形をとっている。
 以上のことより、各社の報道の仕方について少し考察してみようと思う。朝日新聞では、見出しからも読むことができるように、事故そのものというよりも追悼式を報道しているというニュアンスが強いように思う。日本経済新聞では、事故を受けての国土交通省の動きや、歴代社長の起訴に対する言及など、事故と、外部団体の関わりについて積極的な報道が見られると感じた。大きいものとはいえ、一つの事故から、社会では様々な動きを見てとることができることを暗に伝えているこの報道は、さすが経済新聞と言えようか。Yahoo!ニュースでは、まず特徴的な報道方法として、文字として起こしているニュース内容と、ほぼ同じものを映像としても作成、掲載している点がある。Yahoo!ニュースは、もともとウェブ上だけでニュースを掲載していることもあり、映像などメディアの使用方法には非常に手馴れているような印象を受ける。
 また、今回の比較検討において、テキストで述べられたような研究が活用されている部分というのはあまり感じ取ることができなかったため、日常的な新聞やテレビニュースの閲覧を心がけ、テキストで述べられている研究がどのような活用をされているのか、知る機会を得ることができれば良いと感じた。

②広告を3件以上集め、テキストで紹介している内容分析研究を参考にし、男女モデルの描写について比較分析してみよう。第 7 章で紹介している研究との一致点または相違点について記述してみよう。またそれらの表現が人々にどのような影響を与える可能性があるかについて考えてみよう。

 私は、YouTubeを用いて、男性アイドルが出演しているCMと女性アイドルが出演しているCMについて分析し、比較を行う。今回、男性アイドルの例としてKis-My-Ft2、女性アイドルの例として乃木坂46が出演しているCMを視聴した。
 まず、CMにおいて、彼らがアイドルの醍醐味であるダンス歌唱のパフォーマンスを行なっている割合を求めた。Kis-My-Ft2が出演しているCMについては、サンプル19件中2件がダンス歌唱パフォーマンスを行なっていた。これは割合に直すと約10.5%である。一方の乃木坂46では、サンプル16件中4件がダンス歌唱パフォーマンスを行なっており、その割合は25%にのぼる。以上のように、theアイドルとも言えるダンス歌唱パフォーマンスをCMで行う割合は男性アイドルと女性アイドルで二倍以上の差があることがわかった。
 次に、彼らがCMにおいて視聴者側に話しかけるような口調を行なっている割合を求めた。この場合における「視聴者側に話しかけるような口調」とは、商品の宣伝的文句を発言しているものではなく、視聴者をある程度親しい間柄の人間として設定の上、その人物に話しかけている場面だろうと考えられるもののみをカウントした。おそらく代理店側の考えとしては、そのアイドルの彼氏あるいは彼女、またそれに近い存在を仮想的に味わえる環境を作り上げたいと考えているのであろう。Kis-My-Ft2が出演しているCMに関しては、サンプル19件中4件について上記のような場面が見られた。割合としては約21%だ。乃木坂46が出演しているCMに関しては、サンプル16件中2件にとどまった。割合は12.5%である。先ほどとは一転し、男性アイドルであるKis-My-Ft2の方が割合が約1.7倍となる結果だ。
 上のような結果から、私が考えたことを述べたいと思う。アイドルという存在において、男性の存在が世間的に大きく認められ始めたのは、いわゆるジャニーズ事務所に所属しているアイドルが出てきて始めてからである。当時ジャニーズ事務所に所属していた郷ひろみ近藤真彦、シブがき隊などは男性アイドル創成期を支えてきたと考えられる。一方で女性アイドルは、アイドルという存在が一般的になってきた頃から存在していたように思う。上記の男性アイドルよりも古いアイドルというだけでもキャンディーズをはじめとして様々なアイドルを思い出す人が多いのではないだろうか。また、google画像検索などで「アイドル衣装」と検索すると、女性ものばかりがヒットする。このような結果から、世間的には「アイドル」というと未だ女性のイメージが先行していると考えることができると思う。このアイドルに対するステレオタイプが、女性アイドルにはtheアイドルであるダンス歌唱パフォーマンスを行なってもらうというCMの作り方につながったように思う。
 ところで、最近の言葉として「夢女子」というものがある。「女オタクの一種で、作品内に登場するキャラクターと自分の恋愛関係を好む女性。または恋愛関係でなくとも自身が登場人物としてキャラクターと関わる事を望む女性。 」(https://dic.pixiv.net/a/夢女子 より引用)のことである。この言葉に、男性バージョンは存在しておらず、アイドルやキャラなど、実際の恋愛が難しい対象に対して恋愛感情を抱くのは女性が多いと考えられると思う。そして、統計的に、男性アイドルには女性ファン、女性アイドルには男性ファンがつきやすい。すなわち、男性アイドルは、ファンにとって恋愛対象(あるいはそれに近い感情を抱く対象)として消費されやすいと考えることが可能だ。このような、主なファンの心理がCMでのアイドルの振る舞いにも違いを与えると考えられる。恋愛対象として消費される可能性の高い男性アイドルに対して、女性アイドルに比べ、theアイドルという演出よりも彼氏感を醸し出した演出が求められることは至極真っ当である。
 さて、テキストによると、「女性は若いモデルの起用が多かったのに対し、男性は中年が多かった。服装は、女性の場合、思わせぶりなファッションをすることが多く、男性は露出度の低い普段着を着ている傾向があった。」とある。今回の場合、女性アイドルである乃木坂46のCMにおいては、短いスカートの衣装や制服(型の衣装)など、確かに思わせぶりに近いファッションでCMに出演していることが多かった。一方で男性アイドルのKis-My-Ft2では、(宮田・千賀・二階堂・横尾の四人での出演の場合においては特に)露出度が低く性的な消費を想定していない衣装が多かった。しかし、テキストと異なることとして、普段着ではなく、アイドル的衣装と考えられる衣装を身につけていたことが挙げられる。しかし、これは調査対象がアイドルであったために発生した相違点と考えるのが妥当であろう。
 このように、アイドルのジェンダーを考慮したCM起用は、それぞれのアイドルが持つ特性を考えて行われていると考えることができる。特性を生かすことで、それまで応援してきたファンが納得する、あるいは新たなファンを獲得できるという出演者側の利点、そして正しいアイドルの使い方を行なって商品のプロモーションをより効率的に行うという企業側の利点、どちらも得ることができるのである。